【イカの特殊な生態】遺伝子コードを書き換える能力

17 8月, 2020
研究によって、イカのニューロンには遺伝子コードを細胞核の外に移動させる分子を書き換える能力があることが明らかになりました。

タコやイカ、オウムガイなどの頭足類は軟体動物に分類され、その種類は約700種ほどあります。彼らはとても不思議な生き物で、カモフラージュスキルなど驚くべき能力を持っています。捕食者の目をくらますために墨を吐くものもいます。今日は、イカの遺伝子コードを書き換える能力についてお話します。

イカは非常に特殊で、深海で光り輝くことができるものや、タコのように自分自身をあり得ない形にゆがめることのできるものもいます。

様々なことができるのはなぜ?

その答えは神経のコントロールです。例えば、彼らが自らの色を変えることができるのは、外膜にあるピグメント細胞を使っています。神経系のコントロールによって筋肉が収縮し、ピグメントが広がったり縮まったりするのです。

危険から素早く逃げる能力はジェット推進システムのようなものを使っており、外膜の筋肉を強力に収縮させることのできる、巨大なモーター神経線維システムを持っているのです。これによって漏斗を通して圧縮された水をジェットのように噴き出すことができます。

イカ 遺伝子コード

イカのニューロン

このような理由から、世界中の神経学者が頭足類の研究を長年続けているのもうなずけるでしょう。例えば、タコには素晴らしい筋肉コントロール力があり、自分の体の10分の1のスペースにも隠れることができるということが研究でわかっています。

イカついては、自分自身の遺伝子コードを書き換えることができるということがわかりました。これはニューロンの核だけでなく、軸索においてもそれが可能なのです。軸索とは長く薄い繊維で、他のニューロンに信号を送る役割を持っています。この研究ではアメリカケンサキイカ(Doryteuthis pealeii)を使い、細胞の核の外でも遺伝子情報を変化させることが可能だということが初めて明らかになったのです。

イカ 遺伝子コード

イカの遺伝子コードを変化させる能力が重要な理由とは?

まず、これは神経可塑性の理解をさらに深める上で重要です。これは神経系がその構造や機能を変化させる能力のことで、環境の変化にすぐに対応できる能力なので、生存には欠かせないものだと言えます。

イカは遺伝子コードを編集するずば抜けた能力を持っています。2015年には、同じ研究グループがイカはメッセンジャーRNA(mRNA)を人間よりも数倍上手く書き換えることができるという報告をしています。

メッセンジャーRNAは生物が機能する上で欠かすことのできない重要な分子で、細胞の核DNAの遺伝子コードをタンパク質を生成するリボソームに送ります。このmRNAはリボソームによって「解釈される」特定のDNAのかけらのことで、それによりリボソームはその動物の遺伝子コードに沿ってタンパク質を再構築するのです。

mRNAを編集する能力は「局部的には」理論上、細胞の具体的なニーズを満たすために生成されるたんぱく質のタイプに神経が適応できるようにすることを意味しています。また、これは招待的に多くの人間の神経障害に関わっている軸索機能不全を治療する上で重要になる可能性がある、重要な発見でもあるそうです。

イカ 遺伝子コード

さいごに

RNAの書き換えは同じタンパク質の表出に多様性を与える生物学的プロセスです。生存のためにRNAの書き換えはDNAを書き換える(突然変異)よりずっと安全です。DNAの変化は本質的に有害になる可能性もあるからです。また、RNAの変化は治すことができますが、DNAの変化は永久なのです。

動物界には私たちがいまだ理解していないさまざまなプロセスがあります。こういったプロセスを見ていき研究することで、人間の病気を治す方法が見つかるかもしれません。ですので、お分かりのように、この種の研究は知識を深めるという意味だけでなく、私たちのクオリティオブライフを向上する上でも欠かせないものなのです。

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