ネコ白血病レトロウイルス:原因・症状・治療について

世界の猫の2~15%が生きているうちに一度はこの病気にかかっていると言われていますが、多くの飼い主がそのことに気が付かないのが現状です。
ネコ白血病レトロウイルス:原因・症状・治療について

最後の更新: 22 2月, 2020

ネコ白血病ウイルスの主な感染経路は、感染した他の猫の体液との接触で、致命的になることもあります。

世界の猫の2~15%が生きているうちに一度はこの病気にかかっていると言われていますが、多くの飼い主がそのことに気が付かないのが現状です。そのため、この致命的な伝染病の原因と症状を知ることは、予防と治療にとって重要なステップになります。

ネコ白血病レトロウイルス

レトロウイルスは一本鎖RNAで構成されていて、逆転写酵素と呼ばれる酵素の作用により複製します。これにより、RNAがDNAに変換され、その後、宿主細胞のDNAに組み込まれます。感染するとウイルスは増殖する可能性があります。

感染した猫の体液との接触は、ネコ白血病ウイルスの主な感染経路です。感染した猫が他の猫を噛んだり、感染した猫の唾液・尿・糞と接触したりした場合、すぐに感染します。また、子猫は母猫の母乳を介して感染します。

感染した猫と関わりのある猫は感染リスクが高くなります。このウイルスは、家出をした猫野良猫とじゃれあう猫、あるいは同じ家に住んでいる診断されていない他のペットと共に過ごす猫などによく見られます。

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主な症状

ネコ白血病の潜伏期間は数カ月から数年に及ぶこともあるため、手遅れになるまで、あるいは他の猫に感染するまで治療が開始されないことが多いのが現状です。初期段階では次のような症状が現れます。

  • 食欲減少
  • 続けて起こる体重減少
  • リンパ節の肥大
  • 悪い毛並み・抜け毛
  • 長引く発熱
  • 血色の悪い歯茎と粘膜
  • 歯肉炎・胃腸炎
  • 尿路感染・皮膚炎・上気道感染
  • 発作・行動の変化・その他の神経障害
  • 視力に影響を及ぼす病気
  • 流産やその他の生殖器系の問題

診断

診断には通常、FeLV P27と呼ばれるウイルスのタンパク質成分を検出する2つの検査が行われます。1つ目の検査はELISAと呼ばれ、最初のスクリーニング検査として通常行われます。早期発見には定期健診が肝心です。

1つ目の検査で陽性だった場合、IFAと呼ばれる2つ目の検査が行われます。この検査で診断が確定し、病気がどのステージにあるかが分かります。この最後の検査により病状が進行した段階で発生するリンパ球内のウイルス粒子が検出されます。

治療と予防

現在、ネコ白血病の決定的な治療法はなく、血中のウイルス粒子の量を減らす特定の治療法が存在するのみです。しかし、多くの癌治療のように、このような治療法の副作用は非常に強いのが特徴です。

猫の健康を保証する唯一の方法は獣医による緩和ケアです。つまり、すでに現れている症状への対策や、健康な場合は予防のために行うケアのことを指します。

予防の一つの方法は、室内から外に出さないというものです。つまり、感染した猫との接触リスクが無い状態にするということです。

近所にネコ白血病ウイルスに感染した猫がいる場合、比較的効果的ではありますが、必ずしも有効性は高くないワクチンが存在します。しかし、この予防接種を受ける猫は少ないため、やはり感染した猫との接触は最初から避けることが重要になります。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。