【赤いクチバシのコウノトリ】シュバシコウって知ってる?

15 10月, 2020
日本では「赤いクチバシのコウノトリ」としても知られているシュバシコウ。実は長い間、ヨーロッパで越冬していたことをご存じですか?

シュバシコウ(Ciconia Ciconia)はコウノトリ目コウノトリ科に分類され、東アジアに生息するコウノトリの仲間です。ヨーロッパコウノトリとしても知られており、渡り鳥としての繁殖後は毎年、何千マイルも飛んでいました。越冬にはヨーロッパの半分を南下し、ジブラルタル海峡とサハラ砂漠を約1ヶ月かけて渡ります。

無事に南下できると、マリ、ニジェール、またはチャドなどのサハラ以南で越冬します。越冬は9月から2月上旬までで、冬が終わると再びヨーロッパに渡って行くのです。

シュバシコウの越冬について、スペイン語では次のようなことわざがあります。「コウノトリは(2月3日の)サンブレイズの日に見かける」

シュバシコウ:驚くべき渡り鳥

残念ながら、シュバシコウの中でも越冬地にたどり着かないものもおり、非常に厳しい長旅では命を落とすことも多いのです。シュバシコウは温かい上昇気流を利用して長距離を移動しますが、この上昇気流が発生しにくい地中海上空を避けるため、次の2つの移動ルートが使われてきました。

スペインでは多くのシュバシコウが生息していますが、それは2つ目のルートが存在するためです。しかし、この移動ルートは、ここ数十年で変化してきています。詳しく見ていきましょう。

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シュバシコウの移動ルートの変化

何十年もの間、多くの専門家はシュバシコウの移動ルートの変化を観察してきました。そして、多くは繁殖地で越冬するようになったことが明らかになったのです。

その原因の一つには気温の上昇により、半島の冬がより穏やかになったことが挙げられます。また、埋め立て地が出来たことにより、一年を通してエサを見つけることができるようになったことも関係していると考えられています。

半島にはエサが見つけやすい沼や湿地帯が多くあり、越冬に向いているのです。シウダード・レアルのタブラス・デ・ダイミエルや、リバス・ヴァシアマドリードのラグーナ・デル・カンピージョなどがその例です。

移動距離は短縮傾向

半島での越冬が多く見られるようにはなりましたが、移動を全くしないということではありません。SEO/BirdLifeの研究によると、多くのシュバシコウはスペインの農村部に巣を作っているといいます。そして、冬になるとマドリードなどの都市近郊に移動し、ヨーロッパ最大級の埋め立てごみ処理地のバルデミンゴメスでエサを探すのです。

この調査は、無線送信機を付けたシュバシコウのつがい(ゴヨとエナラ)によって確認されました。このつがいは、8月にマドリードから山間部を南下したといいます。

このような移動ルートの変化は、種の存続を助けているようです。危険な長旅を避け、より多くのシュバシコウが生き延びることができるからです。また、エサを継続的に確保できるようになったことも大きなプラスになっています。

若いシュバシコウは越冬の移動を続ける

SEO/BirdLifeの研究で興味深いもう一つの点は、成鳥になったシュバシコウと若いシュバシコウの行動の差です。若いシュバシコウは越冬のための移動を続けていることが研究により明らかになりました。成鳥のシュバシコウはヨーロッパで越冬する中、若いシュバシコウはアフリカへの危険な長旅を続けているのです。

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さらに、同じ研究によると多くの鳥はヨーロッパの寒い地域からスペインに移動して越冬することが分かりました。

その結果、冬のスペインでは、アフリカへ渡らずにスペインで越冬する鳥や北欧から移動してくる鳥の数が大幅に増えているといいます。

移動ルートの詳細

スペイン鳥類学会は、ヨーロッパの団体と協力しながら何年にもわたりシュバシコウの移動を研究してきました。そして、移動するシュバシコウのGPS無線送信機データを初めて取り入れた詳細な研究を最近発表しました。次のような多くのことが明らかになりました。

  • まず、「若いシュバシコウはサヘルに移動し、成鳥はスペインで越冬する」という仮説を証明しました。
  • スペインで越冬する中央ヨーロッパのシュバシコウの多くは、アフリカに移動したシュバシコウよりも生存率が高く(約50%)、後者は10羽に1羽しか生存していないことが明らかになりました。
  • 一方、成鳥のシュバシコウはほとんどがヨーロッパで越冬し、大多数が翌年も生き延びることができました。

シュバシコウの越冬とその移動ルートの変化は非常に重要な意味を持ち、他の多くの渡り鳥の変化を予測していると考えていいのではないのでしょうか。

 Bécares, J.; Blas, J.; López-López, P.; Schulz, H.; Torres-Medina, F.; Flack, A.; Enggist, P.; Höfle, U.; Bermejo, A. y De la Puente, J. 2019. Migración y ecología espacial de la cigüeña blanca en España. Monografía n.º 5 del programa Migra. SEO/BirdLife. Madrid. https://doi.org/10.31170/0071.