人間と同じように、もちろんワンちゃんにも…
ペットへの抗生物質の投与について:自己判断はしない
ペットへの抗生物質の投与は、嘔吐や下痢をはじめとして偶発的な中毒症状まで様々な副作用が現れる可能性があるため、必ず獣医師の診断に従ってください。

抗生物質は細菌によって引き起こされる病気を治療するために広く使われている薬です。
多くの感染症の治療に使用する抗生物質はたくさんありますが、抗生物質をペットに投与するのは有効なのでしょうか?
本記事では、抗生物質を服用する際の注意点とペットへの効果についてご紹介します。
抗生物質は体内でどう作用するのか?
抗生物質として知られている薬は、患者の体内で生成する化学的相互作用により治療効果を発揮する薬です。
前述したように、抗生物質は細菌感染症を治療するために開発され、薬の化学作用により、病気の引き金となる細菌の増殖を抑制したり、完全に排除する効果があります。
また抗生物質は、ウイルスや真菌などの微生物によって引き起こされる病気の治療には効果はありません。
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選択的抗生物質と広域抗生物質
既存の抗生物質は多種多様ですが、一般的には2つの大きなグループに分類されます。
これは、体への作用によって「選択的抗生物質」と「広域抗生物質」と呼ばれています。
- 選択的抗生物質:特定の細菌に対してのみ「選択的」に作用するため、特定の種類の細菌によって起こる疾患の治療にのみ有効です。
- 広域抗生物質:この抗生物質は、多種多様な細菌に広範囲で作用するため、複数の細菌に感染している可能性があるときに使用されます。
抗生物質の包装などには薬の細かい情報が記載されているため、細菌に作用する薬を識別することができます。
質問がある場合は必ず獣医師に相談してください。
中には、抗生作用を増強するために、他の化合物が添加されていることが多くあり、その一例がクラブラン酸です。
抗生物質ではありませんが、多くの抗生物質中のアモキシシリンの作用を高め、治療効果を高める化合物です。
ペットに抗生物質を投与する必要があるのはいつ?
細菌が原因の感染症を発症したペットが抗生物質を必要とするかもしれない、という考えは理にかなっています。
しかし、抗生物質を投与する前に、その疾患が細菌性であるという獣医師による確定診断が必要です。
多くの場合、ウイルス感染の症状と細菌の感染が混同されるため、飼い主が自己判断をせず、必ず獣医師の診断を受け、獣医師の処方の元でのみ、抗生物質を投与してください。
ペットといっても様々な動物がおり、それぞれが独自の生態を持つユニークな存在です。
つまり、動物の数だけ治療方法が存在するため、正しい知識を持つ専門家である獣医師だけが、ペットの症状を診察し、ペットのニーズに合う適切な治療法を決定することができます。
また外科手術の後に獣医師がペットに抗生物質を投与することがあります。
これは、手術からの回復期に皮膚の病変や傷跡が細菌に感染するのを予防するために投与されます。
ダニやノミなどの寄生虫が発生している時に、ペットに抗生物質が処方されることがあります。
これは、皮膚などに発生した外部の寄生虫を駆除する時に、皮膚の小さな病変がある場合、ここから感染するのを防ぐ効果があります。
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飼い主が自己診断すべきではない理由
残念なことに、一部の飼い主は獣医師の診察や処方なしにペットに抗生物質を投与することがありますが、自己診断や勝手な薬の投与は非常に危険です。
また人間と動物に共通する抗生物質が存在するため、自分の抗生物質をペットに投与しようとする人もごく稀に存在します。
獣医師が薬を処方する際には、動物の体重や健康状態を考慮して、薬の投与量と投与回数を決定し、効果的かつ安全な治療計画を提案します。
そのため、飼い主が自己判断で抗生物質をはじめとする薬を投与すると、嘔吐や下痢、そして中毒症状などの副作用を併発するリスクが高まります。
必ず医師の診察を受けて、正しい治療法を行いましょう。