大腸菌:哺乳類の持つバクテリア

大腸菌は人間の中にもともと生息しているバクテリアです。腸の病気を引き起こす病原体も中にはいるので、それが私達やペットの間で広まることがないようにする方法を知っておくことが大切です。
大腸菌:哺乳類の持つバクテリア

最後の更新: 13 5月, 2021

大腸菌(エシェリヒアコリ)についてはもちろんみなさんも聞いたことがありますよね。これが引き起こす不快感を経験したことがあるという方もいらっしゃるでしょうし、誰か経験したことのある人を知っているかもしれません。ですが、このバクテリアの保菌者(保有宿主)が家畜だということはご存知でしたか?

大腸菌は最も研究されている自由生活のバクテリアだと考えられています。存在するほとんどの型が哺乳類や鳥類の結腸の中に生息しています。この動物たちには病気を引き起こさず、消化のプロセスを助けています。ですが、消化管の外に出ると、病原株の毒性に弱い組織や臓器に感染症を引き起こすのです。

以下で、この人間にも動物にも影響を起こしうる興味深い病原体について、さらにお話ししていきたいと思います。

大腸菌という病原体

こういった腸の病気を引き起こす恐れのある血清型にはさまざまなものがあります。その中で最も研究されている病原体の一つが大腸菌で、これは志賀毒素あるいはSTECと呼ばれる毒素の産物です。このタイプのバクテリアは約7.2度~50度の間で最もよく成長します。

STEC型の中には、深刻な出血性大腸炎(血性下痢)に関わった血清型O157:H7や、1983年にアメリカとカナダで起こった溶血性尿毒症症候群(HUS)の大流行などがあります。

人間の中では、大腸菌は腹痛や下痢を引き起こし、その後熱、嘔吐、その他の痛みなどが続きます。

動物の保菌者

STECは消化管に生息し、さまざまな種の動物のフンとして外に出されます。これには家畜(ヒツジ、ヤギ、ブタなど)やその他の哺乳類(ネコやイヌ)、鳥類(ニワトリや七面鳥)などが含まれます。また、ウシは最も重要な動物原性感染症のSTEC保菌者です。

大腸菌 家畜

感染方法と感染源

これは消化管に存在する微生物ですので、フンによって汚染された水や食べ物を通して広まります。これらの病原体のほとんどが大腸炎の症状を引き起こします。他にも、毒素が血中に入った時に起こる溶血性尿毒症症候群(HUS)のような、さらに深刻な病気の原因にもなりえます。

家畜間では、水や食べ物の摂取や暮らしている環境が主な感染源です。ですので、家畜と同じエリアで生活している野生動物やペットも、保菌者になりえるということです。

人間に置いても、大腸菌の感染は口腔あるいは便を通して起こります。また、ペットのフンを通して飼い主にうつることもあります。果物や野菜を消化するのも感染方法の一つです。これは、植物の成長や収穫のある時点で、病原体を持った動物のフンに触れたことが原因です。

これらの事実から、生や生焼けの肉や乳製品などを食べることにも健康上のリスクがあり、感染の可能性が増えます。また、汚染された食べ物や調理器具、そして調理に使った表面などを触ることでも感染することがあります。

大腸菌に感染したときの治療法

実は、大腸菌を取り除くための抗生剤治療はないのです。ベストなのは、脱水を起こさないように食事の中に十分な水分を取り入れることです。

溶血性尿毒症症候群になってしまった場合は、入院が必要になります。電解質や水分が欠乏しないように、観察しなければならないからです。これは、この症状が腎臓の適切な機能を失わせるためです。

コントロールと予防

家畜の中のSTECを正しくコントロールするためには、汚染の源に主に注目する必要があります。つまり、保有宿主の動物のことです。そこで、家畜間における、このバクテリアの腸管定着を減らすために、必要な手段を取らなければならないということです。

  • ワクチン接種
  • 動物の食事の変更
  • プロバイオティクスを使った治療

人間においては、食べ物の衛生状態を良くし、世界保健機関(WHO)が作っている食品安全のための提案などを参考にするといいでしょう。

  • 頻繁に手を洗う
  • 料理をする場所をきれいに保つ
  • 果物や野菜をよく洗う
  • 生や生焼けの肉やチーズ類を食べない
  • バクテリアが死ぬ温度(最低でも71度以上)で食べ物を調理する
大腸菌

予防がカギ

すでにお話ししたように、大腸菌は出血性大腸炎や溶血性尿毒症症候群などの深刻な病気を引き起こすバクテリアです。ですが、こういったタイプの微生物のほとんどは私たち人間や動物の体の一部であるということも忘れてはいけません。つまり、腸内の栄養の九州など、たくさんのプロセスを補助しているのです。

病原体の拡大を防ぐためには、衛生状態を良く保ち、食べ物の扱いや調理を正しく行うことが大切です。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。