ペットの急性中毒はグリホサートが原因ではないと判明。本当の原因は?

ペットにとって潜在的な危険をもたらす物質がいくつかありますが、ペットの急性中毒の主な原因はグリホサート系除草剤ではないと判明しました。
ペットの急性中毒はグリホサートが原因ではないと判明。本当の原因は?

最後の更新: 16 8月, 2023

すべての飼い主は、愛する我がペットのために安全な環境を提供する義務があります。そのため、ペットの急性中毒の根本的な原因に関する知識を持っておくことは、ペットの健康を危険にさらす問題を回避するのに役立ちます。 

犬や猫はもともと好奇心が旺盛で、グリホサート系除草剤のような、犬や猫にとって有毒な物質に接触することがよくあります。予防策を講じ、緊急時には迅速かつ適切に行動することが不可欠です。家庭用品や医薬品の誤飲は、場合によっては命に関わることもあるのでなおさら重要です。 

ペットの急性中毒の一般的な原因

ペットが一般的に使用されている家庭用品に接触した場合、どのような危険にさらされるかを知っている飼い主は多くはありません。そのため、有毒物質の可能性を認識し、動物の手の届かないところに保管するための対策を講じることが重要です。 

犬や猫を危険にさらす可能性のある主なものには、チョコレート、タマネギ、キシリトール、カフェイン、解熱鎮痛剤、タバコなどがあります。ペットがこれらを口にした場合は、獣医師の診察を受けることが重要です。

Science of the Total Environment誌の調査によると、犬猫の中毒についての相談の内、14.2%がグリホサート農薬によるものでした。これは、この除草剤によるペットの急性中毒はまれであることを示しています。 

グリホサートとペットの急性中毒との関係

緊急獣医療を受けることが、ペットの健康にとって常に最良の選択です。

グリホサートは最も広く使用される除草剤のひとつですが、その使用に賛否両論がないわけではありません。2015年、国際がん研究機関(IARC)により、「人体に対しておそらく発がん性がある(グループ2A)」と発表された物質だからです。

「発表以来、複数の機関がグリホサートに関する文献を見直し、さらなる研究を行い、改訂された安全な摂取許容量(ADI)と基準量(RfD)を算出することを目指している」

Pest Management Science誌に掲載された研究では、1日当たりのADIに従えば、グリホサートへの暴露が人間やペットに与える健康リスクは最小限であることが示唆されました。また、適切に使用すれば発がん性のない物質であることも強調されています。 

そのため、グリホサートを主成分とする除草剤のほとんどは動物に安全であると考えられており、ペットフードへの含有量も法律で規制されている のです 

農林水産省の「ペットフードの成分規格等に関する省令」では、1kgあたり15μg以下と定められています。(2021年時点) 

ペットの健康のために、家庭の除草剤は正しく扱いましょう。

動物のいる家庭でグリホサート系除草剤を安全に使用するためには、以下の点に留意することをお勧めします。

  • メーカーの指示に従い、正確に塗布する。
  • 散布当日は、製品が完全に乾くまで、ペットが散布場所に入らないように注意する。
  • 薬液がペットに触れた場合は、すぐに洗い流す。
  • ペットが薬液を舐めてしまい、何かがおかしいと思ったら、獣医師に相談する。
  • 溶液ボトルは、動物が届かない場所に保管する。

グリホサートに関するEUの新たな動き

欧州委員会は、EU域内におけるグリホサートの使用を再承認するとしている。

専門メディア『POLITICO』によると、欧州委員会はEU域内におけるグリホサートの使用を再承認する予定であり、承認の可能性は高いと見られています。欧州食品安全機関(EFSA)が発表した評価によれば、グリホサートは人間、動物、環境の健康にとって重大な懸念はないとされます。 

そのため、欧州委員会は9月にグリホサート再承認案を各国代表に提示し、10月に投票を行う予定です。この案が承認されれば、グリホサートの再承認期間は通常通り15年となります。 

重要な点は、EUにおけるグリホサートの将来のためには、その使用が生態系の幸福と何百万もの人々や動物の生命に重大な影響を及ぼす可能性があるため、公衆衛生と環境を保護するための決定が下されなければならない、ということです。

こちらもお読みください:ペットが毒に侵されてしまったら?

除草剤を安全に使用し、ペットの急性中毒を防ごう

責任ある飼い主になることで、愛するペットを除草剤やその他の有毒物質がもたらす潜在的な危険から常に守ることができます。つまり、積極的な行動をとり、これらの製品のリスクについてよく知っておくことで、可愛いペットのために、より安全で健康的な環境を作ることができるのです。

こちらの記事もおすすめです。

犬にとって毒のある植物たち
My Animals
で読むことができます。 My Animals
犬にとって毒のある植物たち

人間の気が付かないところで、ペットたちは危険に晒されているのです。農薬や殺鼠薬などの薬品ならまだ分かりやすいかもしれません。では毒を持った植物だった場合どうでしょう。犬たちにとって害のある植物は、身近ないたるところに潜んでいます。毒を持った植物が生えていれば駆除をする必要があります。犬にとって...


引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。



Dōbutsu ōkokuに記載された内容は、情報提供を目的にしたものです。専門家による診断、助言、治療の代わりとなるものではありません。疑問がある場合は、信頼できる専門家に相談することをお勧めします。