セッパリイルカってなに?:ニュージーランド固有の種
セッパリイルカはニュージーランドに固有のイルカです。ウェリントンにある博物館の学芸員ジェームス・ヘクターの名前をとって、「ヘクターズイルカ」とも呼ばれています。
セッパリイルカの特徴
この種はイルカ属の中では特徴のある種ですが、 あまり知られていません。オスとメスには多少の違いがあり、オスはメスよりも少し体が大きくなっています。大人になると体長は約1.2メートル~1.5メートルになり、体重は約40キロ~60キロになります。
セッパリイルカの頭はうすい灰色で、黒い部分もあります。黒っぽい線が頭のてっぺんにあり、目の周りも黒く覆われています。顎の下にも黒い部分がありますが、その下とむなびれの裏、生殖器の周りは白い色をしています。
むなびれ、丸い背びれ、噴水口の周りは暗い灰色から黒色をしています。口吻は黒く、あまり長くありません。歯は24~31本、上あごと下あごにそれぞれ生えています。
体色はほとんど灰色のように見えますが、このイルカを太陽の下でよく見ると実はさまざまな色が入り混じっていることがわかります。
生息数と分布
セッパリイルカはニュージーランド固有の種です。この種はどのイルカの種よりも生息地が限られているイルカです。さらに2種類の亜種もいます。
夏の時期、ニュージーランドの南および西側の浅い海に最もよく見られます。冬になるともう少し分布の幅が広がるようです。
亜種
セッパリイルカには2つの亜種がいます。
- 一つ目がCephalorhynchus hectori hectoriで、こちらが主な種になり、南側に生息しています。
- 二つ目がCephalorhynchus hectori mauiで、北東に生息し、「マウイイルカ」とも呼ばれています。
これら二つの種はクック海峡の深い海と南の島の南東のポイントで分けられています。これらの亜種は夏に、海岸から10メートルほど離れたところで見ることができます。冬にはあまり姿を見ることができません。
オーストラリアとマレーシアでも目撃報告がされていますが、今のところ種の見間違いではないかと考えられています。
また、この二つの亜種の間にはかすかな違いがあります。もっともわかりやすいものは、マウイイルカにはペニスの周りに小さな黒い斑点があります。そしてマウイイルカの方がセッパリイルカに比べ少し体が大きいのも特徴です。
セッパリイルカの保護
2008年に、IUCN(国際自然保護連合)が、ここ40年間での生息数の激減を受けてセッパリイルカをレッドリストに追加しました。レッドリストに載るということは、その種が絶滅の危機に瀕しているということです。
セッパリイルカの二つの種の中でも、マウイイルカは本当に絶滅のリスクが高くなってしまっています。
このイルカへの主な脅威は、漁師に誤って捕まってしまうこと(網漁あるいは底引き漁)です。近年での生息数の減少率を50%だという見積もりもあります。それを受けて、1988年にバンクス半島に保護地域が保護活動家たちによって作られました。そこでは網漁を禁止したのです。これにより誤って漁師に捕まることが少なくなりました。
その他にも以下のような危険があります:
- 船のプロペラで怪我をすること
- 漁と、泳ぐスペースの減少
- 牧場や森からの排水による汚染
- 生息地における変化
- 病気。ブルセラ症という細菌による病気は、セッパリイルカの出生率を低下させる恐れがあります。
セッパリイルカに関するトリビア
セッパリイルカは、よくいるイルカであるバンドウイルカやその他のせみ鯨などのクジラの種などと混同されることもよくあります。しかし、セッパリイルカの体色が以下に複雑かに気づけば、違いがわかるようになります。
スキンダイバーのウィリアム・トゥルブリッジが、マウイイルカの大使に指名されました。彼の目標は、生物圏を健康に保ちたいのであれば、全ての種を保護することが大切だということを人々に気づかせることだそうです。
セッパリイルカはとてもアクティブで遊び心にあふれ、波が大好きです。甲殻類や小さな魚を食べます。エサを捕まえるために、90秒以内の素早い動きをします。
次の12月(北半球の夏)に、ニュージーランドを訪れてこの素晴らしいイルカに出会ってみてはいかがでしょうか?
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