海のユニコーンと呼ばれるクジラ:イッカクについて

15 2月, 2020
海のユニコーンと呼ばれるイッカクについてわかっていることは少ないですが、私たちをわくわくさせてくれるような生き物であることは確かです。
 

今回紹介するイッカクは絶滅危惧種だと考えられており、野生の姿を見ることが難しい生き物です。そのためユニコーンと呼ばれています。見つけるのが困難で、狩りをするのにそのツノを使うという説があるからです。

まるで神話の中の生物のようですが、彼らは実際に海の中に住んでいます。海のユニコーンと呼ばれ研究をするのも困難ですが、実はすべてのイッカクがあの特徴的なツノを持っているわけではないのです。イッカクについてわかっていることはほとんどありませんが、私たちをわくわくさせてくれるような生き物であることは確かです。

イッカクの特徴

イッカクはシロイルカなどにとても近く、歯を持つ海の生き物です。クジラの一種であり、おでこに生えた大きなツノで有名ですが、これは実は牙なのです。

オスとメスのイッカクには少し違いがあります。大人になると、オスは平均で1600キロほどになるのに対し、メスは1000キロほどにしかなりません。メスはオスよりも小柄なのです。体長もメスは4メートルほどですが、オスは4.5メートルほどになります。

イッカクの体の色は成長とともに変化します。生まれたときは灰色の体にそれぞれ独特な暗い色の斑点を持っています。この斑点は2歳になるまでに消失しますが、それから成長するにつれてまた現れてきます。斑点は増え続けて身体中を覆うようになるので、歳をとると体の色は黒になります。

他のクジラのと違い、ベルーガのようにイッカクには背びれがありません。

最も特徴的なのはやはりおでこに生えた大きな牙でしょう。この牙は2メートルになることもあり、その重さは10キロを超えます。これはオスにのみある特徴で、メスには牙がありません。

 

最近まで、イッカクがこの牙を何に使っているのかはわかっていませんでした。帰巣本能に関係するものだとか、氷を割るのに使っているという説もありました。イッカクがこの牙を素早く動かすことにより魚を気絶させることで狩りに使用しているのではないかという説もあります。

イッカクの生態

イッカクは小さな群れを作って暮らしています。冬の間は2~9体で構成されたグループになりますが、夏には南下して何百何千ものイッカクの群れと合流します。

イッカクは特に音を多く出すクジラの仲間です。他の種類のクジラがほとんど音を出さないのに対し、イッカクは常に音を使ってコミュニケーションをしているだけでなく、その音にもさまざまなバリエーションがあるのです。

異なる間隔で日常的にクリック音を出しています。これはイルカと全く同じような反響定位のために使われていると考えられています。一方で他のイッカクとコミュニケーションをとるときには口笛のような音などを出すことがわかっています。彼らはこれらの音を調節することができ、専門家はこれは複雑な言語なのではないかと考えています。

食事については、海底からエサをとります。30分間海中に潜っていることができ、海底800メートルまで潜ることができることでも知られています。ですので、イッカクはマッコウクジラの次に海底深くまで潜ることのできる哺乳類ということになります。

イッカクの生息地

イッカクは地球上のとても限られた地域にのみ生息しています。冬には北極、北カナダ、グリーンランド、ロシア付近の北極海の周りの氷の海に位しています。夏になると南に少し移動して、フィヨルドやカナダの入り江などでも目撃されています。

 

彼らはかつてもう少し暖かい海に生息していましたが、進化の過程で地球上で最も寒い海へと移動したということがわかっています。その生息地はとても限られているので、個体数も多くありません。イヌイットの人々意外にほとんど捕食者がいないにもかかわらず、絶滅危惧種に指定されてきました。

イッカクの食事

イッカクは肉食動物で、魚と甲殻類のみを食べます。海面で魚の群れを狩ることもありますが、海底に生息している生物を潜って食べることが一般的です。

冬の初めにたくさん食料を食べ、それが終わると北へ移動します。生活する海にほとんど氷が無いと食べるものがほとんどなくなるのです。ですので彼らは食べ物をとてもゆっくりと消化することができます。そうすることで、食べたエサを消化して何週間、何カ月と栄養が満たされた状態を保つことができるのです。

イッカクは絶滅危惧種ですが、幸いその保護活動がしっかりと行われています。彼らのことを研究しより詳しく学ぶことは困難ですが、彼らの生息数は安定しているようです。しかし捕食者はあまりいないとはいえ、彼らの生存における最大の脅威は汚染なので油断はできません。