【カラスのことホントに知ってる?】驚きの認知機能とは!?

カラスは霊長類に匹敵する認知機能を持っていると言われています。これを裏付けるデータを詳しく見ていきましょう。
【カラスのことホントに知ってる?】驚きの認知機能とは!?

最後の更新: 24 9月, 2020

「カラスと書き物机が似ているのはなぜ?」これはルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」で登場する『なぞなぞ』で、今回のトピックに相応しい引用です。あるいは、「カラスとサルはどこが似ている?」でもいいかもしれません。カラスは霊長類とは異種であるにも関わらず、霊長類と同様の記憶力を持っていることをご存じでしたか?今回はこの謎に包まれたカラスの知能について掘り下げていきたいと思います。

 

カラスの認知機能

カラス、ワタリガラスカササギニシコクマルガラスハシボソガラス、イベリアカササギ。これらはすべてカラス科の鳥で、その優れた知能と能力でよく知られています。その認知機能を検証する研究は多く存在していて、研究者は次の点でカラスが優れていると結論付けています。

  • 類推による推論。カラスは類似性のない過去の経験と事実を関連付けることができます。
  • エピソード記憶。カラスは経験した特定の状況を鮮明な記憶として残すことが可能です。
  • 問題解決のために道具を使用する
  • 複雑な社会的交流。カラス科の鳥は、他のカラスのグループの社会的な関係を理解することができます。つまり、自分の属するグループのカラスと、他のグループに属するカラスの関係を理解することができるのです。カラス社会では、各メンバーの社会的なランクによって関係性が確立され、支配性や服従性を要することをほのめかすことができるのです。
  • 自分や他のカラスの精神状態を分かっている。カラスは鏡に映った自分を認識することが可能です。つまり、客観的に自分の姿を理解しているのです。また、自分と同じ種類のカラスを覚えていることもできます。

カラスにはワーキング・メモリーがある

霊長類の優れた認知機能は、ワーキング・メモリー(作業記憶)、短期記憶、そして情報処理能力によるものです。計画能力や認知機能の柔軟性といった他のスキルは、ワーキング・メモリーがあるからこそものなのです。

しかし多くの研究結果によって、カラスはワーキング・メモリーが非常に優れていることが明らかになっています。実際、霊長類と同等と言われているほどです。さらに、次にご紹介する心理学者バラホノフ氏らによる論理学的な実験では興味深い事実が明らかになりました。

カラスと霊長類の認知機能

バラホノフは、2種のマカクを用いた以前の実験のように、黒いカラス2羽を10ヶ月間に渡り訓練しました。その後、画面で一連の視覚的刺激を提示し、それを追視するカラスの目と頭の動きを観察しました。(この実験を行う前に、カラスは頭を動かさずに目標物を目で追うことを学んでいます。)

視覚的刺激は色のついた複数の正方形で、画面上には常に表示されています。いくつかの正方形が数秒間画面から消えると、変更点が加えられ再び画面に現れます。そして、その変更点を見つけるとカラスは画面をつつくように教えられていました。

この研究では、カラスが画面上で扱うことのできる要素の最大数が4であることが明らかになりました。そして、なんとこれは霊長類と酷似した結果だったのです

カラス 知能 

カラスは複雑な問題解決が可能

カラスは日常的な問題を解決するのにその認知機能を使います。過去に起きた同じような状況で作った道具を、記憶をもとに作ることができます。実際、他のカラスが作ったものでさえ覚えていることがあるそうです。

そのため、正しい順番を必要とする複数のステップがあるような問題でも解決することができます。これは、情報を記憶し、それを順番に使っていく能力があるから可能なことです。

鳥や哺乳類には高度な認知機能、優れた視覚システム、あるいは色を見分ける高い解像度などの類似点があるため、異なる動物でありながらも実験を繰り返すことが可能です。

進化の過程は異なっていても、異種が収束進化によって特徴を共有していることがこれらの実験で示されています。

自然界における問題解決能力は生死を分けると言っても過言ではありません。このような驚異的な能力を発揮するカラスですが、厳しい自然界で生き残るためには必要不可欠な能力であり、驚くことではないのかもしれません。


引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。


  • Balakhonov, D., Rose, J. Crows Rival Monkeys in Cognitive Capacity. Sci Rep 7, 8809 (2017).
  • Massen, J., Pašukonis, A., Schmidt, J. et al. Ravens notice dominance reversals among conspecifics within and outside their social group. Nat Commun 5, 3679 (2014).
  • elbert SA, Singh PJ, Gray RD, Taylor AH (2015) New Caledonian Crows Rapidly Solve a Collaborative Problem without Cooperative Cognition. PLoS ONE 10(8)

このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。