猫がゴロゴロと喉を鳴らすワケ

猫がゴロゴロと喉を鳴らすのはどんなときでしょうか。嬉しいとき、苦しいとき、どこかが痛いとき、ストレスや恐怖を感じているとき、または病気のときにもです。この鳴き声にはなんと癒しの効果もあり、当の猫だけではなく周囲の人の健康にも役立ちます。
猫がゴロゴロと喉を鳴らすワケ

最後の更新: 06 4月, 2019

他の動物にはない猫ならではの特徴といえば、この喉を鳴らす独特な音があります。このゴロゴロいう音が鳴る意味とメカニズムについては、現在でもその謎を解き明かそうと研究が進められています。この記事を読めば猫の「ゴロゴロ音」について、知りたかったすべてが分かるでしょう。

どう定義する?

このゴロゴロいう音をどのように定義すればよいでしょうか。アメリカのメリアム・ウェブスター社の辞書では、この鳴き声を意味する英語の「purr」は、「猫が快適なときに出す、低い振動音による鳴き声」と定義されています。

ところが、専門家によると、実際には猫がこの音を出すのは嬉しいときだけではありません。後述するように、痛みや苦痛の表現である場合もあるというのです。

猫が喉を鳴らす音は、継続的で軽い「うなり声」とされることもあります。この声を出しているときには、猫の体の中が振動しているのを見たり触れて感じたりできるはずです。また、呼吸にともなって音が変化するので、ときどき聞こえやすくなったり激しい音になったりすることもあります。

猫は生後わずか数日で、ゴロゴロと喉を鳴らすようになります。この音は母親とのコミュニケーションにも不可欠なのです。母猫は出産時や授乳の際にも喉を鳴らして子猫を落ち着かせます。

猫の感情表現という点でも、そして音の鳴るメカニズムがまだ完全には解明されていないという面でも、猫のゴロゴロ音はたくさんの人の興味をかきたて続けています。さらに、この鳴き声は猫と一緒に暮らしている人の心身の健康にも役立つというのです。

猫 喉を鳴らす  ゴロゴロ

「ゴロゴロ」のメカニズム

猫がどういった仕組みで喉を鳴らしているのかは、まだ完全に解明されていません。60年代に発表された「血流力学説」では、後大静脈を通過する血流の作用で音が鳴っているとされました。

その後には軟口蓋の振動が原因であるとされたこともありましたが、 今では咽頭で空気の流れが変化することで音が鳴っているとする考え方が主流です。

メカニズムとしては、咽頭筋が収縮することによって音が出ていると考えられています。声門の部分的な閉鎖が連続して起きるために、通過する空気の圧力が変化し、私たちが耳にするゴロゴロ音の振動が発生しているようです。

また、猫が呼吸しているときの横隔膜の収縮を見れば、この音がたいてい連続的なものになる理由にも納得がいきます。

なぜ喉を鳴らすの?

さて、ここで一番の疑問が残ります。結局、どうして猫は喉を鳴らすのでしょうか?たとえば撫でられているときに喉をゴロゴロと鳴らす様子などを思い出せば、この音は猫が快適なときのサインに間違いないように思えます。

ところが、実は猫は嬉しいとき以外にも、おびえているときや病気のとき、苦痛やストレスにさらされているときなどにも喉を鳴らします。中には死の間際になってゴロゴロと喉を鳴らしていた猫の例すらあります。

喉を鳴らす猫 猫 喉を鳴らす  ゴロゴロ

いずれの場合でも、喉を鳴らすのは猫が安心したりリラックスしたりするのに役立っているようです。研究によって、猫がゴロゴロ音を発するときにはエンドルフィンが放出されることが明らかになりました。エンドルフィンは楽しい状況に関連の深い物質で、痛みをやわらげる効果があります。

さらに、ゴロゴロが猫の体の回復にも役立つという可能性を忘れるわけにはいきません。猫が喉を鳴らす音の周波数は25~150ヘルツですが、これはとりわけ、骨密度の増加や腱の修復、さらには傷の治癒にも効果がある可能性があります。

ひとつ確かに言えるのは、猫のゴロゴロ音はただの単調な鳴き声ではないということです。現状のさまざまな観察から考えても、日常のそれぞれの場面に応じて、猫はこの鳴き声をうまく役立てているように思われます。

癒しの「ゴロゴロ」

猫の体に良い「ゴロゴロ」は、なんと飼い主にも効果があるようです。いくつかの研究では、このことを支持する次のような結果が報告されています。

たとえば、毎日に近いペースで猫を撫でている人には、そうでない人に比べて以下のような効果が考えられます。

  • 低いストレスレベル
  • 睡眠のリズム・質が良い
  • 心臓関連の症状が少ない
  • 血圧の安定
  • 免疫システムの安定
  • 病気からの回復が早い
  • 骨、筋肉、腱の回復が早い

したがって、猫を飼っている人は、猫のいない生活を送っている普通の人類よりも、病院に行く回数が少なくて済みそうです。のんびりと猫を撫でて、癒しのゴロゴロを堪能しましょう。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。