TNRプロジェクトを知っていますか?

TNRとは、「Trap(捕獲)、Neuter(不妊手術)、Return(元の場所へ戻す)」の頭文字を取ったものです。
TNRプロジェクトを知っていますか?

最後の更新: 30 11月, 2018

動物愛護団体や動物愛好家によって支えられている「TNRプロジェクト」が一部の都市で実施され始めています。

TNRとは、「Trap(捕獲)、Neuter(不妊手術)、Return(元の場所へ戻す)」の頭文字を取ったものです。TNRが出来た背景には、野良猫を捕獲し不妊手術を行うことで野良猫の数を抑制しようとする試みがありますが、このプロジェクトの目指すものは更に先にあります。

現在、街中には病気にかかった猫が溢れかえっています。しかし、その猫たちの世話をする人は誰もいません。そして、メス猫は常に発情期を迎えているため、繁殖が抑制できていない状態です。通常、春先になると数多くの子猫たちが産まれます。野良猫として生き残れる猫もいますが、多くは数ヶ月で命を落としてしまいます。成猫になっても、野良猫の寿命は5年と言われています。しかし、飼い猫は15歳まで生きることができるのです。

 

TNRプロジェクト

街中で繁殖し続ける野良猫の数を唯一抑制できているのが、このプロジェクトです。いくつかの都市から集まった猫ボランティアによって猫たちは捕獲され、不妊手術を受けた後、元の場所へ戻されるのです。

野良猫 TNRプロジェクト

しかし、TNRプロジェクトの目的は不妊手術を行うだけではなく、猫で溢れかえる地域を管理することです。猫ボランティアは担当の地域を割り当てられます。そして、安全な餌と水を与え、必要であれば獣医師に連れて行き、虫下しをします。また、新しく産まれた子猫や捨てられた猫のために、責任のある里親も探します。

ご存じですか?:動物を助けるリサイクル

 

TNRプロジェクトのメリット

これだけ多くの猫の世話や管理には時間だけでなく、経済的な支援も必要になってきます。それでも、このプロジェクトには多くのメリットがあります。

  • 野良猫の出生率と頭数を下げる
  • 猫ボランティアが与える餌は、衛生面に配慮し全てドライフード
  • このプロジェクトによって、各地域の野良猫を管理することが可能になっている。保健所に連れて行かれないように、野良猫と登録してあるチップを埋め込む。
  • 不妊手術後は、縄張り争いや交尾のための争いが無くなる
  • 地域の衛生状態が改善し、猫は尿で縄張りのマーキングを行わなくなる

猫地域かを見極める方法

野良猫の管理がされている地域は標識があることが多いようです。猫地域の野良猫は、それ以上の世話は必要としません。標識がない地域では、猫が不妊手術を受けたか否かは見た目で分かります。TNRの猫は耳先にV字の切り込みが入っているからです。

この耳先の切り込みは世界中で行われています。この切り込みがあることで、その猫は再び捕獲されることはなくなります。V字の切込みは不妊手術後、まだ麻酔が効いている間に獣医師によって行われるため、猫は痛みを感じることはありません。また、耳先は軟骨組織のため特別な処置を必要とせず、数時間で治ってしまいます。

もしお住まいの地域で耳先に切り込みがある猫を見つけたら、その猫にはしっかりとサポートが付いていると安心できるということです。

猫地域を見つけたらどうする?

猫地域の猫たちはそっとしておく以外、特に注意することはありません。通常、野良猫は家での生活に馴染めないので、人間との関わりを避ける傾向にあります。

野良猫は野良猫として生きていることに何の不便も感じていません。猫地域では不要な繁殖が抑制されているだけでなく、誰かが定期的に餌を与え、世話をしているのです。

お住まいの地域で猫たちを助けたいと考えている場合は、パンフレットやお知らせがないか探してみてください。猫ボランティアや団体の名前や連絡先が書いてあるはずです。連絡をして、出来ることがないか問い合わせてみましょう。猫ボランティア、ドライフード、そして経済的支援はいつでも必要とされています。

お住まいの地域ではまだTNRプロジェクトが実施されていなくて、何か猫のためにしたいと考えている場合、個人でも野良猫を増やさないようにすることは可能です。猫に与える餌は人間の食べ残しではなく、ドライフードだけにしましょう。誰かに片付けられてしまったり、毒を入れられてしまったりしないように、餌は隠れた場所に置くようにしましょう。

野良猫は虫を捕まえます。病気を持った虫も捕まえてくれるため、伝染病を防いでくれます。また、野良猫がいることでネズミも近付いてきません。人間は街中に住む動物たちにもう少し理解を示すべきなのかもしれません。猫地域は、猫たちに平和な生活環境を与えると同時に野良猫を最も人道的に扱う方法なのです。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。