【殺人スズメバチだ!】ツマアカスズメバチの生態
ツマアカスズメバチは東南アジアに生息する大きくて危険なスズメバチの一種で、「殺人スズメバチ」という異名を持ちます。そして、最も攻撃的で侵略的な外来種としても知られています。
ツマアカスズメバチ
ツマアカスズメバチは他のスズメバチのように主に昆虫を食べ、特にミツバチを好みます。ミツバチが捕食されていなかった生態系にとっては危機を意味します。
ツマアカスズメバチは通常のスズメバチの3倍の大きさで、他の種類の蜂のように女王蜂と働き蜂が存在します。通常、ツマアカスズメバチの巣は木の中に作られますが、民家の軒下や屋根裏などに巣作りをすることもあり、この場合は人間を襲うこともあると言います。
ボールのような球体の巣の入り口は側面に作られることが多く、最多で2000匹になる巣も。巣の中にはツマアカスズメバチの約84%の餌を食べると言われている幼虫がいます。
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成虫になると熟した果実や花密を食害するツマアカスズメバチ。その天敵はモズ(鳥)、ミツバチ、蜂を食べることで知られている鳥ビーイーターなどが挙げられます。
ミツバチはツマアカスズメバチからどうやって身を守っている?
ヨーロッパのミツバチにとっては真新しいアジア原産のツマアカスズメバチ。身を守るためには共進化する必要がありました。
その方法とは、大群でツマアカスズメバチを取り囲むというものです。こうすることで温度が上昇し、酸素レベルが下がります。ミツバチにとっては問題のない温度でも、ツマアカスズメバチにとっては高温すぎるため死に至るのです。
このようなミツバチの行動は、現在、ヨーロッパで稀に観察されている程度です。しかし、ツマアカスズメバチはスペインや他のヨーロッパ諸国の蜂の個体数に深刻な脅威をもたらしているのも事実です。ミツバチは農産物を含む多くの食物の受粉に貢献しているため、ミツバチの減少が地球の生態系に与える影響は壊滅的と言えるでしょう。
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ツマアカスズメバチの人間への危険性は?
パニックに陥る必要はないものの、ツマアカスズメバチは人間にとって危険な存在でもあります。しかし、それはヨーロッパのスズメバチでも同じことが言えます。ツマアカスズメバチもヨーロッパのスズメバチも、攻撃は最後の手段で、どちらもまずは逃げようとする生き物です。
一般的に、どちらの蜂も巣を守るために攻撃するため、木の近くでの作業や、誤って地面にある巣を踏んでしまった場合には注意が必要です。両種とも毒を持ちますが、ツマアカスズメバチの毒はより多いと言われています。
蜂毒アレルギーがある人や何度も刺されたことのある人は要注意です。実際、ツマアカスズメバチによる死亡例は多く報告されています。
そもそもなぜツマアカスズメバチがヨーロッパにいるの?
ツマアカスズメバチは2004年にフランスの貨物船に紛れ込んでヨーロッパに渡り、2010年にはピレネー山脈を越えてスペインにまで分布していることが確認されました。そこからバスク地方、ガリシア地方、アストゥリアス地方、カンタブリア地方、カタルーニャ地方、さらにはマヨルカ島までに広がっています。
スペインでは外来種に分類され、政府は徐々に駆除計画を進めています。それでも今のところは、ツマアカスズメバチの勢いは衰えていません。在来種に大きな影響が及ばないことを期待したいところです。
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