凶暴な犬:本能それとも訓練?

どの動物も自然に成長の過程において攻撃的な性格を身につけることがあるため、ある特定の犬種が攻撃的である、という考え方は正しくはありません。 ただし、ある特定の犬種が攻撃的になる傾向があるのも事実です。 しかし、これは潜在的な本能に起因しているため、訓練によって攻撃的で凶暴な性格を抑えることが可能です。
凶暴な犬:本能それとも訓練?

最後の更新: 20 1月, 2019

ロットワイラーやピットブルをはじめとする犬種は、潜在的に危険な犬としてよくその名前があがります。

そしてこれらの犬種は、その攻撃的で凶暴な性格を生み出す危険なDNAを持っていると考える人も少なからずいるのです。

しかし、それは本当なのでしょうか?

今回は、様々な場所で議論を巻き起こすこの内容について詳しく見ていきましょう。

凶暴な犬は本能的に凶暴なのでしょうか?それとも凶暴な性格になるように訓練されたのでしょうか?

犬の攻撃性や凶暴な性格は、DNAに組み込まれたものだと考える人がいますが、それは必ずしも凶暴性の主な要因とは限らないことが、いくつかの研究から明らかになっています。

犬の攻撃性には、潜在的な要因があることも否定できませんが、訓練によって学ぶ行動パターンであるケースも多々あります。

 

では、まず犬の凶暴な性格に影響を与えるいくつかの要因についてご紹介します。

犬が凶暴になる要因とは?

ピットブルやロットワイラーなどの犬種は、闘犬として長い間使われて来たのは事実であり、これらの犬種への悪影響の一因となっています。

しかし、実は犬を「凶暴」にするためには、専用の訓練をしているという事実はあまり知られていません。

ここからは、犬が攻撃的で凶暴な性格になる要因についてご紹介します。

DNA

DNAが、これらの潜在的に危険な品種に本当に影響を与えるかどうかは、常に議論の余地があります。

ただし、歴史の中で、凶暴で攻撃的な性質を強く持つ犬同士を交配させることで、ピットブルやロットワイラーがより攻撃的で凶暴な性格を持つようになってきたのは事実です。

凶暴な犬について

つまり、これらの犬種でも、子犬の時から、正しいしつけやトレーニング行えば、攻撃的だと言われる行動の多くを軽減するのに役立ちます。

飼い主の指示に従う、大切な相棒になることも可能ですが、必ず万が一に備えて予防策をとったり、注意を払うこともお忘れなく。

インプリンティング

インプリンティングとは、いわゆる「刷り込み」のことで、子犬の成長段階における精神面の成長過程に影響を与えると言われています。

つまり、子犬の段階で、適切な時期に脳に正しい刺激を与えて、記憶させることで、より良い可能性を引き出すことが可能であるという動物行動学の考え方です。

逆に間違った訓練や刺激を与えることで、成長してから問題行動を起こすリスクが高まります。

子犬の時期は人間の子供時代と同様に、犬の一生を左右する大切な時期と考えられているため、正しい方法で子犬を育てるように心がけましょう。

両親

闘犬として使われている犬が親である場合や、子犬の周りに闘犬として使用されている成犬がいる場合は、子犬は成犬の行動を見て模倣する傾向があります。

子犬は人間の子供同様に、スポンジのようにすべてを吸収する可能性を秘めています。

前述したように、子犬の時期に正しいしつけや刺激を与えて、問題行動を防ぐ努力をしない限り、周りの成犬からの影響を受けることが多くあります。

繰り返しになりますが、子犬の段階で正しいしつけや訓練を行うことで、問題行動を防ぐことは可能です。

子犬 凶暴な犬

間違った訓練やしつけ

これらの犬種の攻撃性や凶暴な性格に影響を与える要因の一つが、「凶暴になるための特別な訓練」です。

噛みつくことを教え、攻撃的で強く噛みつくことで自分の能力を誇示していることがあります。

もともと「パック」と呼ばれる群れで行動する動物である犬にとっては、家庭で育てる場合においても、誰が群れのリーダーなのかを明確し教え、そのリーダーである飼い主の命令に耳を傾けて従うように訓練を行うことが大切です。

可愛いペットだからといってしつけを怠らず、必ず飼い主が上であることを理解させるようにしてください。

自分だけではしつけができないからと心配する必要はありません。

犬の訓練やしつけの専門家に相談することで、適切な訓練やトレーニングを子犬の段階で受けさせることができます。

虐待

人間から虐待を受けた犬は、攻撃的で凶暴な性格になる傾向があります。

虐待を受けた犬の里親になる場合は、専門家に相談して、適切なしつけや訓練を長い目で行うことが大切です。

また、子犬でも攻撃的な性格になることがありますが、これは「パピーミル」と呼ばれる悪質な繁殖業者の劣悪な環境が原因の一つだと考えられています。

狭いケージ、または複数の犬と共有する大型のケージに詰め込まれて、水や食料を与えられずに長い距離を移動することもあります。

そしてペットショップに連れて行かれる過程において、死んでしまう犬もいるような劣悪な環境の中で生き残る子犬は、これらの環境が性格に悪影響を与えて凶暴な犬に成長する可能性も否定できません。

犬の攻撃的で凶暴な性格は、本能によるものですか?それとも訓練によるものですか?

実は明確な答えはありません。

犬の本能が攻撃性に影響を与えることは間違いないのと同様に、訓練が犬を凶暴にするのも事実です。

そのため、子犬の時期から適切な刺激を与えて、犬の凶暴性を軽減する訓練が欠かせません。

必要に応じて、専門家に相談して、正しいしつけや訓練を行って、犬と幸せな時間を過ごしてくださいね。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。