犬には私たちを欺く力があるってホント?

どうやら可愛くて従順な犬という生物は、科学者がいう「戦術的欺瞞」という術を身につけるまでに至ったようです。
犬には私たちを欺く力があるってホント?

最後の更新: 16 11月, 2018

犬を飼っているみなさま、時々愛犬に操られているような気がしませんか?もし実際に操られてはいないにしても、なんとなく「そういうことも起こりうるかも」とは薄々勘付いているのではないでしょうか。というのも科学者たちが実験を行ったところ、どうやら犬は「私たちを欺く方法」を知っているそうなのです。

犬の「戦術的欺瞞」

犬と人間は数世紀にも渡って一緒に暮らしてきました。当然ワンちゃんも多くのことを人間から学び、受け継いできたのでしょう。

その結果なのかは分かりませんが、どうやら可愛くて従順な犬という生物は、科学者がいう「戦術的欺瞞」という術を身につけるまでに至ったようです。

実験はチューリッヒ大学生物進化学科に所属するマリアンヌ・TE・ヘバーレイン氏を筆頭に行われ、その成果は動物の 認知(Animal Cognition)という学術誌にまで掲載されました。研究結果を簡単に要約すると、どうやらワンちゃんたちはエサをもらうために私たちを欺くことがある、ということが判ったようです。

犬に欺かれているかもと感じたことはありませんか?今や科学的にその可能性が証明されました。どうやらワンちゃんは、完璧かつ隠密に私たちをたぶらかす力があるそうです。

犬が私たちを欺ける?その研究の詳細

犬を引き寄せる 私たちを欺く

さて、なぜ彼らがこのような結論に至ったのかをご説明しなくてはなりません。彼らは性別・犬種・年齢様々な27匹のワンちゃんを集め、1匹ずつ3人の人間との交流を持たせませた。

  • 1人目は飼い主。ずっとワンちゃんに寄り添ってきました。
  • 2人目は知らない人。いつでもタッパーの中に隠された食べ物をワンちゃんにあげる人です。
  • 3人目も知らない人。でもこの人は頑なにタッパーの中の食べ物をワンちゃんにはあげようとはしません。犬にとっての「強敵」です。

またタッパーにも三種類あり、ワンちゃんは1人に付き1つのタッパーをアサインできます。つまり、誰かを特定のタッパーの前まで連れて行ってそのタッパーを開けてもらうのです (開けてくれる人なら)。

  • 1つ目のタッパーには犬が好きな食べ物が入っています。
  • 2つ目のタッパーには犬が関心を寄せない食べ物が入っています。
  • 3つ目のタッパーは空っぽです。

実験における犬の行動

さて、知的で策士であるワンちゃんがこの状況でどう動いたか想像できるでしょうか?

まず、彼らは自分の置かれている状況を瞬時に把握したようです。

  • 2人目である「ワンちゃんの味方」が横にいるときは、ほとんど常に彼らをお気に入りの食べ物が入っている1つ目のタッパーに連れて行きました。
  • 3人目である「ワンちゃんの強敵」が部屋に入ってくると、ほとんどの場合、ワンちゃんは彼を何も入っていない3つ目のタッパーの元に連れて行ったのです。残った「飼い主」はすでに自分にエサをくれることを知っているからこそ、そうしたのでしょう。

この研究結果から分かること

まず、ワンちゃんは「協力者」と「非協力者」を明らかに区別しており、その違いによって行動も変えていることが分かります。

ここからワンちゃんは「戦略的欺瞞」という計画を生み出すのです。つまり、自分の欲しいもの(このケースでは1つ目のタッパーの中身)を得るためには、誰をどこのタッパーに連れて行くのが良いのかを考え出したのです。

ヘバーレイン氏曰く、この研究は犬の認知能力や状況に対応する柔軟性を理解する上で大きな成果をあげたと言います。将来、このような研究が犬と人類がより上手に共存するための土台になっていくのでしょう。

今回の研究では、犬はただの可愛いお友達というだけでなく、自分が欲しいものを手に入れるためには時に悪知恵を働かせることもできる動物だということが証明されたのです。

犬の知性や感性に関するそのほかの情報

実際、最新の科学実験と言っても、犬の飼い主さんなら大体が「なんとなくそうじゃないかと思っていた」ようなことが分かります。当然、「科学的に」という点が大事なのですが。

さて、では最近の実験で判ったことをご紹介してみましょう。

  • 犬は私たちの言うことだけでなく、言い方も理解する私たちの言葉を理解するために左脳を使い、言葉のトーンから右脳を使って意図を推測します。つまり、言葉そのものと、そのイントネーションを合わせて意味を連想することができるのです。
  • 犬には二歳の人間の幼児ほどの知力がある。
  • 人間と同じように、楽観主義者もいれば悲観主義者もいる。また、落ち込んだり嫉妬したりなどもする。
  • 犬には人間の子ども並の感受性が備わっている。

あなたも愛犬から、驚くような知性や感性を感じることはありますか?


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。