【幻の鳥】南米の象徴的な鳥ケツァール

その鮮やかな緑色の羽からケツァールは象徴的な鳥で、世界中に多くのファンがいます。アステカではケツァルコアトル神の化身と考えられていました。ケツァールには5種類あり、すべてアメリカ大陸に生息しています。
【幻の鳥】南米の象徴的な鳥ケツァール

最後の更新: 06 4月, 2021

ケツァールは中米を代表する鳥の一つで、アステカの神ケツァルコアトルの使いとして有名です。鮮やかな色彩の羽を持つことから、世界で最も美しい鳥のひとつとされています。絶滅の危機に瀕しているわけではありませんが、自然の生息地の破壊がケツァールを脅かし始めています。

ケツァルコアトルの伝説

ケツァールという名前は、ケツァルコアトルの伝説に由来しています。ケツァルコアトルは、紀元前1年頃から起源1500年頃まで崇拝されていたメソアメリカの神で、中米アステカの言語であるナワトル語で「羽の生えた蛇」を意味します。

ケツァルコアトルはアステカ神話の中でも最も重要な神の一つで、統治者や貴族はケツァールの鮮やかな緑色の羽から作られた頭飾りを身につけていました。ケツァールを殺すことは犯罪だったため、羽を手に入れるにはケツァールを捕まえ、尾から長い羽毛をむしり取ってから再び放すという方法が使われていました。

分類と生息地

ケツァールは、キヌバネドリ目のケツァール属の鳥で、ブリタニカ百科事典によると、主にメキシコ南部からボリビアまでの森林に生息しています

ケツァール

 ケツァールは、長い尾と光沢のある濃緑色の羽が特徴です。主に昆虫や果物を食べ、木の上でほとんどの時間を過ごします。

ケツァールの種類

ケツァールには5種類あり、いずれもアメリカ大陸が原産です。

キンガシラカザリキヌバネドリ(Pharomachrus auriceps)

この種は、鮮やかな緑色の羽で有名で、金色の頭とのコントラストが目を引きます。生息地は多湿の中央アメリカと南アメリカの熱帯雨林で、主に果物を食べますが昆虫を食べることもあります。他のケツァールのように単独で行動し、繫殖期の時にだけ集まります。

キンガシラカザリキヌバネドリ

オジロカザリキヌバネドリ(Pharomachrus fulgidus)

オジロカザリキヌバネドリは主にガイアナ、コロンビア、ベネズエラのカリブ海沿岸の多湿の森に生息しています。他のケツァールと同じようにオスのみが特徴的な外見をしていて、黄金色のクチバシと明るい緑の羽が目立ちます。果物、ベリー、昆虫を食べます。

カンムリカザリキヌバネドリ(Pharomachrus antisianus)

この種類はアンデス山脈の原生林に生息し、標高約1220m~3050mで生活しています。オスの頭と首はターコイズ色で、身体は真っ赤なのが特徴です。

他の種類のケツァール同様、メスはくすんだ色で、茶色と緑の羽を持ちます。オスのカンムリカザリキヌバネドリは、クチバシの上から始まる頭部の模様で他の種類と見分けることができます。

アカハシカザリキヌバネドリ(Pharomachrus pavoninus)

クジャクを連想させる外観は、一般的に広く知られているケツァール(カザリキヌバネドリ)とは大きく異なります。ベネズエラ、コロンビア、ボリビアの間のアマゾン盆地が原産で、アンデス山脈の東側に生息する唯一のケツァール種です。

特にオスの羽はカラフルで、クチバシは真っ赤です。メスは灰色のクチバシです。

カザリキヌバネドリ(Pharomachrus mocinno)

ケツァール

最後は、最も有名であり、いわゆる「ケツァール」と呼ばれるカザリキヌバネドリです。中米・南米が原産ですが、グアテマラの国鳥でもあり、国の通貨の名前にもなっています。m. mocinnoとp. m. costaricensisという2つの亜種があります。

眩く光る緑の羽と赤い胸を持ち、光の当たり方では緑、青、黄色、コバルトに光ります。約58cmにもなる長い尾が特徴的です。

危惧種

この5種のうち、4種は絶滅の危機に瀕しているとは考えられていませんが、現在、ケツァール(カザリキヌバネドリ)は国際自然保護連合(IUCN)によって“絶滅危惧種に近い“とされています。

同様に、米国の北米鳥類保全イニシアチブ(NABCI)もまた、ケツァール(カザリキヌバネドリ)を監視リストに入れており、保全の面で大きな関心を集めていることが分かります。

現在、ケツァールにとって最大の脅威は生息地が失われていくことです。森林伐採、生息地の分断、伐採搬出などがケツァールにとっての最大のリスクとなっているのです。


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